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いまさら聞けない?「iDeCo」の基本 その2

マサさん。
この前の「iDeCo」の説明で、
他の年金制度との違いを教えてくれたよね。
マサ
そうだね。
特に、公的年金との違いでは「運用方法」
私的年金との違いでは「税制メリット」の違いが大きいかな。
へぇ~ もっと詳しく教えてよ。
マサ
おっ、急に勉強熱心になったね。
それじゃ、さっそく見ていこう。

前回『いまさら聞けない?「iDeCo」の基本 その1』で、現在の年金制度の概要と「iDeCo」と他の年金制度との比較を整理しました。
今回は、「iDeCo」を特徴づけている「運用方法」「税制メリット」について、詳しく説明していきます。

iDeCoの運用はカフェテリア?

いきなりですが、20年以上前に僕が大学生のころ、昼食は学生食堂によく行ってました。

あの頃の学食って、ご飯にみそ汁、おかずがセットになった「定食」が定番だったんですよね。

でも今は、好きな料理を組み合わせられる「カフェテリア」方式が主流になっているようです。

iDeCoも運用管理機関(銀行や証券会社など)が準備する色々な金融商品の中から、予算の範囲で自由に組み合わせることができる、いわば「カフェテリア」方式の仕組みです。

これに対して、僕たちが支払っている年金は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)で運用されますが、そのポートフォリオ(資産構成割合)は基本的に決まっていて、いわば「定食」方式です。

GPIFの基本ポートフォリオ【出典:GPIF HPより】

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iDeCoの特集記事などで、「自分なりのポートフォリオがわからないときは、GPIFのポートフォリオと同じにしてみましょう」とかありますよね。

しかし、これではカフェテリアで、隣の定食屋と同じものを注文するようなものです。

せっかくの「自分年金」ですから、それぞれの年齢や家族構成といったライフプランに合わせて、リターンとリスクを適切に設定したポートフォリオを組んだ方が良いと思いませんか?

当サイトでは、無料オンライン相談を実施しています。
「資産運用について相談してみたいなぁ」という方は、よかったらご活用ください。

iDeCoはひとつで3度おいしい?

iDeCoの最大のメリットとして、税制優遇措置があります。

これは、積立時・運用時・受取時の各段階でそれぞれ税制上のメリットがあるものです。

しかし、いくつか注意しないといけない点があります。

積立時のメリットと注意点

まず、積立時のメリットです。

確定拠出年金の掛金は、全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。

この「小規模企業共済等掛金控除」は所得控除の一つで、課税対象となる「総所得金額」から直接減額されます。

民間の個人年金保険などの掛金も「生命保険料控除」という所得控除の対象ですが、こちらは控除額の上限(※)があるので、全額控除となるiDeCoの方がより節税効果が高いことになります。

※生命保険料控除(所得税は支払年、住民税はその翌年に控除)
平成24年以降に新たに締結した生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除
各控除上限年額 所得税4万円・住民税2.8万円(合計上限 所得税12万円・住民税7万円)

しかも、所得税は年収が高いほど税率が上がる累進課税のため、同じ掛金を積み立てた場合でも、年収が高いほど節税効果が高まることになるんです!
(何となく釈然としませんが、そういうことになるんです。。。)

一方、積立時の注意点です。

加入者によって異なる掛金限度額
iDeCoの掛金限度額を具体的に見ていくと、以下のようにバラバラです。
①自営業者→68,000円/月
②企業年金のない従業員→23,000円/月
③企業年金のある従業員→12,000~20,000円/月
④公務員等→12,000円/月
⑤専業主婦(主夫)→23,000円/月
※③~⑤が2017年1月から対象拡大された方になります。

各種手数料がかかる
iDeCoには、「国民年金基金連合会・事務委託先金融機関・運営管理機関」に対する手数料がかかります。

これらは運用がうまくいかなくても(最悪元本割れしても)かかり続けるコストになります。

よって、安いに越したことはありません。

「国民年金基金連合会・事務委託先金融機関」分は固定でかかるため、「運営管理機関」の取り分が最も低いところを選ぶべきです。

モーニングスター社の比較サイトによると、現在のところ、年額手数料の最安値は2,004円となっています。

ただし、年額手数料の最安値を適用されるためには、年金の残高が一定程度必要な場合があり、掛金が少ない方(特に限度額自体が低い③企業年金のある従業員や④公務員等)については、特に注意が必要です。

現在、このハードルが一番低いのは楽天証券であり、残高が10万円以上なら最安値の恩恵を受けられます。

ご自身のポートフォリオに適した商品(特に信託報酬の安い投資商品)が揃っていて、年額手数料が低い金融機関を選びましょう。

●年収103万円以下の専業主婦(主夫)は所得控除の対象外
「103万円の壁」として有名な話ですが、配偶者控除の対象となる主婦(主夫)の場合、年収103万円まではそもそも所得税がかかりません。

そのため、当然ながら所得税の所得控除のメリットも受けられません。

運用時のメリットと注意点

次に、運用時のメリットです。

iDeCoで扱われる投資信託の配当金や預金の利息などについては、通常「配当所得・利子所得」の課税対象となり、所得税(復興特別所得税含む。)15.315%+住民税5%の計20.315%の税金が課されます。

これをiDeCoで運用した場合、利益について非課税となるため、0%ということになるのです。

一方、運用時の注意点です。

実は非課税期間が終了するかも

確定拠出年金の掛金について、所得税と住民税は非課税と書きました。

しかし、確定拠出年金の年金資産には、特別法人税がかかることになっており、その年率は1.173%(国税1%、地方税0.173%)となっています。

今のところは、これが「課税凍結」されているため、非課税となっているにすぎません。

これについては、政府が「2017年度税制改正で、企業年金などの積立金に対する特別法人税の課税凍結を2017年3月末から3年間延長する方針を固めた」との報道もありますが、厚生労働省が求めていた「特別法人税の廃止」は見送られたようで、将来「課税凍結」から「本来課税」に戻る可能性もあります。

しかし、仮に本来課税に戻ったとしても、その税率は所得税+住民税に比べれば低率であり、iDeCoが資産形成で有利な制度であることは間違いありません。

受取時のメリットと注意点

最後に、受取時のメリットです。

積み立てた年金は、60歳から70歳の間に、一時金(一括受取)か年金(分割受取)で受け取ることができます。このとき一定額まで非課税となります。

まず、一時金(一括受取)の場合は、「退職所得」となり、他の所得と合算せずに分離課税となります。
課税に当たり「退職所得控除」が認められ、退職所得とみなされる一時金を合算して、勤続(積立)年数が20年以上の場合、「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」まで非課税となります。

仮に、控除額を超えた場合でも、退職所得=(退職金-退職所得控除額)×1/2で算出されるため、課税の際、多少有利になります。

次に年金(分割受取)の場合ですが、「雑所得」として原則他の所得と合算される総合課税となります。

ただし、iDeCoの場合は公的年金等として、65歳までは70万円まで、65歳以上は120万円まで、別に控除が認められます。

一時金で受け取る場合の退職金との通算

一方、受取時の注意点です。

上でも書きましたが、一時金で受け取る場合、会社勤務では定年が同時期になり、ちょうど会社の退職金と重なることがあります。

20年以上の勤続年数の場合、退職金+iDeCoの一時金が、”800万円+70万円×(勤続年数-20年)”を超えると課税対象となってしまいます。

「60歳で会社退職だから、65歳の時にiDeCoの一時金をもらえばいいや」と思ったアナタ。

お国もそう甘くはありません。

退職所得控除については、iDeCo受取りの「15年以内に退職金をもらっているとき、加入期間が重複している年数を差し引く」というルールがあります。

よって、勤務期間と積立期間が重複している場合、退職所得控除はゼロ円となるのです。

年金で受け取る場合の他の年金との通算

年金で受け取る場合、65歳までの継続雇用制度との関係や別途受け取る公的年金等の額が問題になります。

特に公的年金については、国民年金か厚生年金か、iDeCoの受取額がいくらになるかで異なるため、なかなか一概に言えないところがあります。

結局、一時金受取がベターかも

いろいろとありますが、個人的には、iDeCoの受取は「一時金」がベターだと思われます。

勤務年数が長いほど控除額が増えますし、それを超えても所得認定額が1/2になるため、公的年金とのバランスを考える手間のある「年金」よりも簡便です。

現時点で最強の「自分年金」制度だけど…

以上、iDeCoについて主な論点を見てきました。
なかなか複雑で頭が痛くなりそうですね。

一方、来年からはよく似た制度として「積立NISA」も始まります。

積立NISAについては、まだ詳細がわかりませんが、20年間という長期の運用期間を前提にしており、40歳を超えた僕としては、iDeCoと積立NISAの2段構えを検討中です。

60歳で退職するとして、iDeCoの受取を一時金にして、積立NISAはその後の年金に加えていく方法です。

いずれにしても、この2つの制度をうまく組み合わせて、より強力な「自分年金」づくりに取り組んでいきたいと考えています。

 

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