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【前編】これで丸わかり!金融庁ガイドブックで「つみたてNISA」解説

“つみたてNISA早わかりガイドブック”が公開

いよいよ来年1月から「つみたてNISA」制度が開始されます。
これにあわせて、金融庁から「つみたてNISA早わかりガイドブック」なるものが公表されました。

金融庁としてはこのガイドブックを「投資教育教材」と位置づけているようです。
今回はこのガイドブックに感想や説明を加えながら、僕なりにレビューして見たいと思います。 

ページ毎にコメント・解説をつけていますので、良かったらガイドブックの該当ページをご覧になりながら見てみてください。

「つみたてNISA早わかりガイドブック」(PDFファイル)のダウンロードはこちら
金融庁のサイト「つみたてNISA早わかりガイドブック」の公表について”はこちら

表紙(P1)

このガイドブックは表紙からいきなり攻めています。

低金利のもとでは、預金だけでは資産は増えません。
確かに、つみたてNISAの対象商品である投資信託には元本割れのリスクがありますが、ちょっとした工夫で、こうしたリスクを軽減することが期待できます。

なんと金融庁が「預金」にダメ出しです。

さらに実績グラフと断りつつも、過去の運用を 預金 < 国内株式・債券 < 国内外株式・債券 で比較し、海外への資産分配を推奨しているように感じます。


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このあたりは、後ほど出てくる「投資先の分散投資」の伏線となっているのでしょう。

特徴を学ぼう(P2)

次に、つみたてNISAの4つの特徴が紹介されています。

つみたてNISAの4つの特徴

  1. 投資信託が対象運用
  2. 利益が非課税
  3. 非課税投資枠は年間40万円で、非課税期間は投資した年から最長20年(最大800万円まで投資)
  4. 販売手数料が0円(ノーロード)で信託報酬も低い商品、頻繁に分配金が支払われない商品などに限定

このうち、「1 投資信託が対象運用」については、「公募株式投資信託」と「ETF(上場株式投資信託)」とされています。
さらに詳しく内容を別の金融庁作成の資料から確認すると、かなり販売会社に厳しい(利用者にとっては嬉しい)内容です。


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※黄色マーカーは筆者にて追加

つみたてNISA基準のハードルの高さをあらわすものとして、次の資料も出されています。

  • 国内販売の投信約5,000本に対して、つみたてNISAの対象は114本となっており、わずか約2.3%(2017.7現在)
  • 日本の純資産額上位10本の売筋投信は、すべて対象外

 
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時間の分散(積立投資)について学ぼう(P3~4)

ここでは、積立投資いわゆる「ドルコスト平均法」のメリットに触れられています。

積立投資とは、「あらかじめ決まった金額」を「続けて」投資することです。
定期的に積立投資をすることで、安いときに買わなかったり、高いときにだけ買ってしまったりすることを避けられます。

つみたてNISAでは、買付けの方法がこの「積立投資」に限定されています。

ドルコスト平均法については、一般的に価格増減の影響を回避できる有効な方法です。
具体的な例示がガイドブックに記載されています。


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※黄色マーカーは筆者にて追加

ただし、ガイドブックの欄外にも書かれているとおり、相場が継続して上昇し続ける場合等、一括投資の方が有利な場合もあります。
現実的には、そのような事象が長期的に続くことはありえませんが。

このように大変合理的な積立投資の紹介なのですが、一つ気になる文言が。
ガイドブックの中で次の記述があります。

決まったタイミング(例:毎月など)で自動的に買い付けてくれるので手間もかかりません

これについては、「積立投資を一度設定すれば、後は何も気にしなくて良い」という受け止め方もできます。
しかし積立投資であっても、資産配分の割合を一定に保つ「リバランス」が必要です。
今回、このガイドブックでは「リバランス」についての記述が見当たりませんでした。
お手軽感を前面に出して、投資のハードルを下げたいということなのかもしれませんが、この点はやや説明不足かなぁと思いました。

 

投資先の分散について学ぼう(P5)

ここでは、「資産の分散」「地域の分散」を紹介されています。

1つの資産だけに投資するよりも、投資信託をとおして値動きの異なる複数の資産に分散投資を行うことで、価格の変動が小さくなり、リスクを軽減することが期待できます。これを「資産の分散」と言います。
また、投資先の地域を分散することにより、より安定的に世界経済の成長の果実(利益)を得ることが期待できます。これを「地域の分散」と言います。

卵を1つのカゴに盛るな」という投資格言のとおりですね。
さらに次の記述もあります。

1つの商品で「資産の分散」と「地域の分散」を同時に行う投資信託もあります。

「バランス型投信」などを念頭においていると思われますが、この辺りも投資のハードルを下げたいという面が見られるところです。

以上、長くなってきましたので、今回はここまでとして、6~8ページは後編に続きます。
→後編はこちら

 

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